熟成鯨とは

熟成鯨の特徴

鯨肉の特徴知っておいていただきたい、クジラ赤肉類の特徴クジラ赤肉の栄養バランスは最高!
高タンパク・低脂肪・低コレステロール

★クジラは野生動物(海のジビエ)です・・・・
 牛や豚などの畜肉と違い、野生ですから同じ鯨種でも1頭ずつ違います。なので鯨の赤肉類は、同じ部位であっても、肉質や色などにばらつきがあります。

★クジラの赤肉は、何故濃いの?
 クジラは長時間海の中で泳げる割に、肺はそれ程大きくありません。それでも長く泳ぐことができる仕組みが、赤肉の色に影響しています。
 その理由は、クジラは筋肉中に酸素を保つ仕組みを持っているからです。
 酸素を運ぶヘモクロビンが筋肉中に多く、そのため他の畜肉と比較すると茶褐色の濃い色をしています。
 一般的には、ミンククジラ・ニタリクジラ・イワシクジラの順で色が濃いようです。
 もう一つの原因は、次にご説明するドリップとも関係する、血抜きがされていないことにあります。

★クジラ赤肉の解凍には、ドリップが付き物?

 クジラの赤肉を解凍すると、どうしても赤いドリップ(肉汁)が出ます。当社の製品でも完全解凍しますと3%程は出ます。

 近年の捕鯨では捕獲後すぐに解体凍結しますので、解凍の際に「ドリップ」と呼ばれる血液の混じった体液が出ます。
 畜肉は屠殺の段階で血抜きを充分行っていますが、クジラ肉から出るドリップには、鯨肉の旨味も含まれており同時に鉄分も多く、クジラ肉の栄養バランスを支えています。なのであまりドリップが出るような解凍(急速解凍)を行うと、せっかくの旨味も逃がしてしまうことになり、肉はパサパサになります。
 そのため、クジラの赤肉類は上手に解凍することが大切なのです。

★クジラの赤肉には牛・豚のように脂がささないのは何故?

 クジラは海中で体温を一定に保つために、体の周囲を脂肪で覆っています。その分筋肉内には脂肪分が少なく、ごく一部の部位にしか赤肉に脂肪が多く含まれることはありません。
 クジラの赤肉が高たんぱく・低脂肪・低カロリーであり、とても栄養バランスが良いのはこうした理由からです。(上記のグラフを参照ください。)

 「尾の身」や「鹿の子」と呼ばれる部位には脂肪分が含まれますが、生産量は極めて少ないのが実際です。小型鯨種であるミンククジラから「尾の身」はほとんど取れないようです。

クジラ赤肉の室温での解凍実験
室温解凍開始(左が凍温熟成済み)
色が違うのは熟成が進んだ証拠です。

冷凍庫から出した後の表面温度変化のグラフ

完全解凍後の状態(室温で4時間)

 ☆冷凍鯨肉の解凍が難しいのはなぜ?
 

 冷凍鯨肉を解凍するのは、難しいというよりは面倒と言った方が正しいかもしれません。
 その理由は、解凍硬直を防ぐために低温(チルド帯)に長時間(250gサイズでも24時間)おいて、ゆっくり解凍する必要があるからです。
 なぜゆっくり解凍する必要があるのか?
 その理由は解凍硬直にあります。

解凍硬直とは?

 これは動物の死後硬直が起こるのと同じ原理です。冷凍鯨肉(筋肉)にATP(アデノシン三リン酸)という物質が存在しており、それが温度上昇に伴い、変化する過程でエネルギーを放出するからです。
 日本の捕鯨では、捕獲後直ちに解体されて、死後硬直を起こす前に、急速冷凍により製品化される為、鯨肉内にATPが残ったままになります。ですから温度変化による硬直を起こしやすいのです。
実験結果で一目瞭然・・・
 冷凍原料をカットしただけの冷凍鯨肉と、当社で凍温熟成した冷凍鯨肉では、解凍結果に大きな違いがあります。それを確認いただけるのがこれらの実験写真です。

 凍温熟成した鯨肉は常温でも問題なし(ドリップは3%程度)、冷凍原料をカットしただけの場合は見事に変形して大量のドリップを出しました。こうなっては残念ながら食べられません。
 ここまでひどくなくても、一般の家庭の冷蔵庫は庫内温度が10℃近くにあがることもあり、解凍硬直を起こしやすい環境にあります。
 なので、チルド庫で24時間かけてゆっくり解凍する必要があるのです。
 凍温熟成をした冷凍赤肉が、手軽に安心して解凍できることをお分かり頂けたと思います。